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滞在中に掲載できなかった2週間前のモスクワについて、徒然と書き留めてます。
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モスクワの北東にヴェー・デン・ハー(VDNKh)という大きな公園があります。地下鉄でいうとオレンジの線で、昔はただ単にだだっ広い、強いて言えばアスファルトが整備されててローラーブレードや自転車を漕ぐにはもってこいなところだったのが、大きくリニューアルされています。
そもそもVDNKhはソ連時代に呼ばれていたVystavka Dostizheniy Narodnovo Khozyaystva(Выставка Достижений Народного Хозяйства)「国民経済達成博覧会 」の頭文字をとった名前で、今は日本語訳だと「全ロシア博覧センター」というらしいです。
↑公園の入り口
とにかく、ソ連時代に構成されていた国や地方の特産品マーケットや展示会が、ここで開催されていたところで、当時のイデオロギーというのでしょうか、この国が何を目指していたのか、よく伝わってくる場所でもあります。と、難しいことは抜きにして、今は市民が休暇を過ごす公園でなのです。
2014年ぐらいから、少しずつ寂れた公園のリニューアルが始まりまして、今はザッツ・エンターテーメント的な色に大変化。半日ではとても全てを見切れない公園となりました。
↑綺麗に改装されている公園。レーニン像が目立ったところにあるのは不思議な感じ。
↑公園入り口の真ん前にある、新設の展示会場。トンネル状になっていて、入るに厳しいセキュリティーコントロールがあったけど、中は動画ばっかりでなんとはなかった。この日は真夏日で、トンネル内はクーラーがなく暑かった。入場料無料。
公園内は色々な場所に見所がたくさんあるけど、今回は去年秋から始まった展示フォーラム「ロシア」がある75番バピリオンと、その周辺の様子について書きます。
こちら、75番パビリオンの入り口です。普段は商業向けの国際展示会がここでよく開催されているところでした。公園を入って割りかし手前にあるパビリオンです。
入場は無料。若いボランティアの人たちがたくさん働いてて、入り口はこっちですよ、とか、行きたい場所のアドバイスなど、サポートしてくれます。
この75番パビリオンで開催されている『ロシア』展は、同国の州、共和国、自治区が紹介されています。ロシア連邦内外の文化や産業を体験型で知ることができます。
↑トヴェリ州のブース。モスクワから近いところですね。車両を生産している州なのか、大きな電車の展示が有る。
私が行ったのは平日の昼間。学校が夏休みに入った頃なのか、とにかく全国からの旅行者やら家族連れで訪問者が多く、どのブースも子供や大人がたくさんで盛り上がっていました。
↑カルムキア共和国のブース。ロシアの中にある仏教国です。
↑トゥバ共和国。モンゴルに近く、もともと遊牧の民。
テュルク語系の国の紹介が多くなってしまいましたが、下の写真はブリヤート共和国のブースで、マニ車が展示されていました。
↑ブリヤート共和国のブース入り
このブリヤート共和国は占いコーナなんかもありました。子羊の骨を使って占います。
下記は、よく東欧のモルドバと間違えられるモルドヴィア共和国のブース。ニジニ・ノヴゴロド州の隣に位置します。民族衣装の本やグッズが展示されるぐらいで、控えめな展示でした。
↑モルドヴィア共和国
ルガンスク人民共和国もありました。心がかなり痛いですが。
黄色味がかった石が積まれた外装のこの入り口は、ダゲスタン共和国のブースです。小部屋をくぐって展示物を見る形になっており、まるで異国に来たような雰囲気です。今は情勢の関係で日本政府から渡航中止勧告が出ています。
次にキリル文字ではなくヘブライ語で書かれたこちらのブースは、ユダヤ自治州。極東のアムール河中流左岸に位置します。行ったことはないけど、昔留学していたハバロフスから近いです。 ↑とにかく、至る所で展示会グループ・ツアーが頻繁に行われていた。
今までロシアって、その地域ごとの特徴とか名産物のプレゼンテーションが薄く、どこいっても同じだな、というのが一般的な意識でしたが、これらの展示会を見て、ロシアの地域ってこんなにも色が違く、それぞれ文化の特徴があるんだ、という新しい感覚が生まれました。
確かに「ロシア」展示会にしかりVDNKhにある他の展示会は往往にして、自分たちはこんなすごい産業があって、誇り高きものなんだ、という面も垣間見えることも確かです。はたから見ると壮大さというかグレートさが強調されすぎにも見えますが、約10年前に少しずつ始まった公園のリニューアルと、今のこの情勢が重なって、この公園の重要さというかプレゼンス(存在感)が増したような気がします。
会場は地元や地方からの子供が沢山で賑やか。みんな楽しそうに展示物を触ったり見聞きして楽しんでいました。今後、日本みたいに、どこどこ出身ですごいね、お雑煮には何を入れるの、面白い地域だね、いつか旅行してみたいねみたいななど、例えばモスクワっ子が、地方出身者にも興味をもってくれる意識になるのか気になります。
さて番外編として、公園敷地内の真ん中、ちょい右あたりに「ロシアのフード館」について少し書き留めます。
↑入り口。こちらも入るのにいつものカバンのセキュリティーチェックがあります。
↑マヤコフスカヤ駅っぽい天井。新しい施設ですね。内装が綺麗。
ここでは、ロシアのご当地グルメがフードコート式で楽しめます。こんなの多くの外国人が集まったソチのオリンピック時にもなかった施設です。昔はボルシチでさえ、どこのレストランで美味しいのが試せると聞いても「家で食べるものだから、外食なない」と返答されたくらいですから。もちろん今のモスクワは、街の至る所で美味しいボルシチをどこでも見つけることができます。
こちらはサンクトペテルブルグのコーナー。
サンクトの名産品って何だろうとお店を覗くと、キビナゴでした。ロシア語でбалтийская килька。あとはサンクト風ドーナッツなんかもありました。なるほど、です。
こちらはカムチャッカのコーナー。海に近いのでやっぱりシーフードやカニですね。
こちらはダゲスタン共和国のコーナー。主にチュドゥ(Чуду)という、平たいパイの中にお肉が入っているバージョンとか、野菜とかじゃがいもとかチーズとか、油で揚げたものじゃなくて、焼いたお料理がありました。
その他にブリヤート共和国のコーナーはブゥズィ(Буузы)つまり日本でいう肉まんですね、とかウドムルチア共和国のペレペチ(Перепечи)というキッシュみたいな丸い形に中に肉とか野菜とかいろんなバージョンが入っているものとか、チェチェン共和国のチェーパルーシュ(Чепалгаш)はちょっとダゲスタンの平たいパイに似てるけど、それよりももっと生地が薄くチーズが中身によく入っているイメージのものや、北に位置するカレリア共和国のシャケやトナカイの肉を使った料理などなど、なるほどそんなご当地グルメもあったよね、と頷けるものばかりのコーナがたくさんあって、見てるだけでもかなり面白いです。
さてさて館内を一通りあるくと、私は昔留学していたサハ共和国のコーナーにかなり目を奪われてしまいました。。。というのも特別な時によく振舞ってくれたルイベがメニューにあったからです。
ルイベは北海道だと食べる習慣がありますか?ロシア語でストラガニーナ(Строганина)といって、凍った魚を薄く切って塩で食べるものです。(お肉のルイベも存在します。)サハの真冬は氷点下40〜50度。バナナも湿ったタオルも大抵のものは凍りますね。ルイベは基本的に冬の料理だし、サハに行かない限りちゃんとしたルイベは試せないと思っていましたが、まさかのヴェー・デン・ハー(VDNKh)で提供されているとは驚きです。
お値段は600ルーブル(約900円)ほどで良心的な値段です。主食にはならない、いわゆるおつまみですね。魚の種類は、興奮しすぎて注文する時に聞き忘れました。大体、チル、ムスクン、ネルマといったサハの超大自然の川に生息する魚からだと思います。
↑左の茶色いのは、ロシアの黒パン。薄い切り方とか風味等が本物でした。
以上、ロシア国内を旅行した人なら特定のご当地グルメ試したい、という気持ちにかられる、もしくは旅行をしたことがない人ならこんなユニークなグルメがあるのか、ととても勉強になる内容なのでした。
ちなみに75番のパビリオンについての公式サイトはこちらで確認できます。https://vdnh.ru/places/pavilon-75/
→続く
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