昨日の記事の続きです—> 自国産のスパークリングワインのみ「シャンパン」と呼んでもいい? ロシアのシャンパンスコエ、フランスのシャンパン:その①
さて、どうしてロシアがこのような法改正に踏み切ったのかは、専門家の間でも議論されていますが、自国の農産物を守りたいというのが理由の一つにあるのではないかとされています。注目したいのが今回の法改正がシャンパンだけに限ったことでないこと、ということです。実はブランデーについても、100%ロシアで作られたブランデーは「ロシアのコニャック」と表記しなさい、と法改正がありました。他のニュースではフランス側の長期にわたる強い懇願で、今年の3月にアルメニアが、フランスの「コニャック」という地理的名称を放棄することが伝えられています。アルメニアのブランデーはロシア国内で「アララット」という商品名やアルメニアのコニャックとして、ソビエト時代から特産物として大変有名です。ロシアでもアルメニアほど有名ではありませんが、自分たちのブランデーを作っており、アルメニアブランデーの一連を受けてか、ロシアのブランディーに関しても今回自分たちの農産物を守る形になりました。
昨日の記事で触れた、法改定後の「ロシアのシャンパン」、つまりロシア語で「ロシースコエ シャンパンスコエ」という名称は、ロシア人にしてみれば昔から(200年前からとも言われています)自国で製造されていて、今でも市民に愛されているもの。彼らはロシア語の「シャンパンスコエ」(詳しく言うと”ソ連のシャンパン”「ソヴェーツコエ シャンパンスコエ」)という呼び名で、お正月や誕生日など特別のシーンで飲む大切なもの。
ということで、自分たちのブランドを絶対に守りたいフランス側と、自国の昔からある農産物を守っていきたいロシア、両者の思惑が対立しているのが見えてきます。一方ロシア国内のワイナリーさんは今回の法改正で、今後どうやって自分たちのスパークリングワインを「ロシースコエ シャンパンスコエ」へREBRANDして国内市場に紹介するか再勉強が必要になると思います。
因みに2020年のロシア向けシャンパニューの輸出額は約35milユーロと世界で15番目*。(ちなみにアメリカ向けが1番目で約500milユーロ。) フランスにとってロシアのシャンパン市場はそれほど大きくなく、今後フランスのシャンパニューがロシア市場とどう付き合っていくのか見ていくことになります。
*生産者団体「シャンパーニュ委員会」(CIVC)のデーターによる
参考記事:”Europe to pay Armenia €3m to rebrand its ‘cognac’ ” https://eurasianet.org/europe-to-pay-armenia-eu3m-to-rebrand-its-cognac
参考記事:”Путин подписал закон о правах на название «Коньяк России»” https://m.lenta.ru/news/2021/07/02/russiancognac/amp/
参考記事:”アルメニアがコニャックの名称放棄、ブランドの世界的立場強まる=仏コニャック・ビュロー” https://jp.sputniknews.com/business/202106198473871/
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