ちょっと真面目なワインを取り巻く経済についての話。
一応イタリアでワインの勉強をしているので、モスクワに戻ったら国内におけるワイン事情をウォッチしています。
久しぶりにモスクワに戻って驚いたのが、制裁中でも自分にとって馴染みの深いイタリアのワインがたくさん棚に並んであること。インフレでルーブルの価格は昔より上がっているものの、予想されていたもよのりもルーブル高騰が抑えられていることもあって、イタリアでMiddle Lowのセグメントであるワインはモスクワの棚でそこそこ一般市民に買えそうな値段。そして高級ワインになるとやっぱり桁が違く特別な人しか買うことができないよな、っと思う値札ですがそれでもやっぱりモスクワっ子は高くても買うんですね。
そしてもう一つ気付いたのは、ジョージアワインのコーナーがかなり増えているということ。昔のままのイメージだとジョージアワインは2006年にロシア輸入を禁止されロシア国内で幻のワインとなり、7年を経て輸入が解禁されたもののヨーロッパのワインの方が断然押し気味だった印象だったけど、今はジョージアワインがすごく目立つ。個人的に何故こんなにジョージアワインが多いか、その理由はロジスティックで困難をきたすヨーロッパのワインの穴埋めをする形で、輸入しやすい、価格帯が市場にフィットしていて、ロシアで昔から好まれていて馴染みのある原産国だから支持を得ているのだと考えます。
↑大型スーパーマーケットのペレクリョーストックにて。ジョージアワインがずらりと並ぶ。
今ジョージアワインは大成功を収めて世界各国へ輸出していますが、海外のリサーチ会社がだしている統計*を見ると2022年上半期のジョージアワイン輸出国別はロシアが全体の59%を占めていてダントツ。そのあとポーランド、中国、カザフスタンが並びます。日本も今ジョージアワインが流行っていてマーケットが成長している国ですね。
ジョージアワインの専門家ではないので予想のみですが、高いセグメントのジョージアワインは英国や日本といった先進国に行っているのだと思います。
さて、先週の7月25日(火)に、8月から非友好国からのワイン輸入に関税が12.5%から20%に引き上げられる(ただし1ℓあたり1.5ドル以上とする)というニュースが出ました。
2014年からロシアは西側へ制裁対抗措置をとっていますが、今回はワインやアルコール飲料が対象になりました。今のところ今年いっぱいまで本措置が取られるそうです。今後海外からのワインとしてはジョージアやアルゼンチン、チリ、その他5年前ぐらいから国内で注目されるようになった南アフリカ、最近力を付けてきているアルメニアあたりのワインがスーパーの棚を占めてくるのかなと思います。値段は上がるというものの、ヨーロッパ・ワインの評価は不変なので、これもお店から消えることはないと考えます。いずれにせよ、とても目まぐるしい国内市場です。
参考資料
*TBC Capital (リサーチ会社)12ページ目 ”GEORGIAN WINE INDUSTRY OVERVIEW 2022 August.” https://tbccapital.ge/static/file/202208124343-georgian-wine-industry-overview-12.08.2022-tbccapital.pdf
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