モスクワのアルバート広場に、フドジェストヴェンニ(英語:Khudozhestvenny Cinema, ロシア語:Художественный)という映画館があります。ロシア語に直訳すると「アート的な」とか「芸術的な」、もしくは名詞に意訳してしまって「芸術館」でしょうか。
まだ私が日本で大学生だった時、ロシア語学科で勉強している親友とモスクワ旅行をしたときに、もし記憶が正しければここで映画を見たことがあります。
その時はキアヌリーブスが出演している「マトリックス」が上映されていて、全然笑いどころじゃない何の変哲もないシーンで、ロシア人の観客がははは、笑っていたのを覚えてます。笑いのツボが違うんだなと感心したな、そういえば。
さてさてそんな映画館ですが、ずっと修復工事をしていてて、去年やっと再オープンをしました。先月ここで映画を見に行ったので、建物の一部をご紹介します。
建物の入り口は古いロシア語の書き方で«Входъ»(入り口) と «Выходъ»(出口)と書いてあります。現代的な書き方はВход とВыходで、今は後ろに «ъ»を付きませんね。この映画館は1909年にオープンしたモスクワで最古、そして世界的にみても今でも営業している現役組の中で世界最古の映画館の一つだそうです。
ちょっとマニアックな話になりますが、当館は20世紀初頭にモダニズム建築で有名なロシアの建築家フョードル・シェフテリによって改修された建物でもあります。
こちらはコートを預けるガルディローブ(гардероб)、英語でクロークルームですね。冬は必ずコートを預けましょう。館内にコートを持ち込むと他のお客さんに当たって邪魔だし、雪とか埃がついたものを持ち込むのは衛生的によくないとされてます。夏は預けるものがないのでそのままスルーですね。
映画館は何ともモダンな内装なんでしょう。シャンデリアもあります。
こちらは大ホール。2回は小さな小ホールが並びます。修復工事は7年弱かかったみたい。
この日は「HOUSE OF GUCCI 」を見ました。吹き替えじゃなくて字幕付きだったので、役者さんのオリジナル声が聞けて良かったです。GUCCIの他にも、ソ連映画の巨匠アンドレイ・タルコフスキーの映画が上映されていました。どっちにしようか迷ったけど、結構彼の作品は見たし、イタリアに行くこともあって今回はGUCCIを選びました。まあ、2時間半ぐらいあって長かったかなと。次回はタルコフスキーの映画を見るのもいいかなって思ったのでした。
ところで、ロシアは冬が長いからか映画が娯楽としてとても人気で、物によってですが日本と比べて、外国映画の初公開が早い傾向にあります。映画のチケットは日本よりも安く、中心街から少し離れたベットタウンへ行くと断然安くなります。ただ最近のニュースだと、コロナ禍による集客減少、今回の制裁によるハリウッドの映画の入手が困難になる等で、映画館の経営が難しくなってきているとも聞きます。
参考までに今回ご紹介したフドジェストヴェンニ映画館のリンクを貼っておきます↓↓↓↓↓↓
THE KHUDOZHESTVENNY CINEMA (公式サイト 英語)
参考記事:
kommersant誌 「Кинопрокат смотрит в будущее 」
「Кинотеатры недосчитались зрителей」